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2012年 01月 07日 ( 1 )

昨日の社説から:日本の将来について

昨日の毎日新聞社説では非常に意味のある事柄について論説していたので紹介したいと思う。1ヶ月しかネット上では見ることができないようなので一部は転載させていただくこととしたい。
さてタイトルは「2012・激動の年 明治と戦後に学ぶこと」と題して、年末にNHKで放送された「坂の上の雲」のことから論説はスタートしている。乃木希典大将が、妻静子とともに明治天皇に殉死したのは1912年の9月のことである。殉死の理由は定かではないが、坂の上の雲を見た感じでは、多くの日本兵やロシア兵を日露戦争のために死なせたしまったこと、そして余命いくばくもない乃木が生き残ってしまい、自らの死に場所を求めていたからではないかと感じる。
その明治が終わり今年はちょうど100年となる。「明治は遠くなりにけり」という古来からの言い伝えがそのままあてはまる時代となってしまった。
そして論説は第二次世界大戦、サンフランシスコ講和条約の発効(こちらは1952年4月28日)からちょうど60年の節目の年にあたるといっている。『明治から大正にかけて一気に主要国へと駆け上がったあと敗戦でドン底にたたき落とされ、民主主義国として再生した戦後日本が「還暦」を迎えるのである。今は長い停滞期にあり変化の乏しい退屈な国と見られがちな日本だが、過去を振り返るならこの国ほど浮沈の大きな近現代史を経てきた国家もない。明治の終焉(しゅうえん)から100年、講和・独立回復から60年。二つの歴史の節目が示唆するものは多い。』
そして段落をかえて「夜郎自大ではだめだ」という論説に移っていく。夜郎自大という四文字熟語について、はなはだ不勉強の私はその意味を知らなかったので、調べてみると世間知らずのことを言うそうである。日本は日露戦争のときもそうであったが、ロシアという列強に対して無謀な戦争をしかけたわけであり、論説でも語られているように戦後処理、また開戦にあたっての外交が特に重要な事柄であったことを強調している。
そういえば、NHKドラマ内でも高橋是清が英国に渡り、資金融資の折衝をしている姿が描き出されていたし、戦後の処理でも賠償金をとれなかったこともサラリと語られていた。どちらも外交的に何をすればよいかをよく政府が考えて決断した結果だと思う。
『ポーツマス講和条約交渉の日本側全権代表として、日露の軍事力・経済力の圧倒的な差を考え賠償金なしの講和をまとめた小村寿太郎。日清戦争のあとの三国干渉で「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」と苦渋の決断を下した外相・陸奥宗光。いずれも政治が判断を誤れば国が滅びたかもしれない局面で発揮されたリーダーシップである。明治の政治とは「内政イコール外交」だった。』
と論説はまとめている。
そして第二次世界大戦であるが、坂の上の雲でもナレーションで流れていたので気づいた人も多いかもしれないが、なぜ日本人は同じ過ちを繰り返してしまったのかということである。時代が進み、30年しか経過していない段階で、何故また戦争をしてしまったのかということになる。
『日露戦争以後、一等国だと勘違いした日本は夜郎自大になり破滅の戦争へと向かった。内閣のリーダーシップの欠如と政党間の足の引っ張り合いが軍部の台頭を許し、国家の羅針盤を狂わせたのである。』
順番は逆になるが論説ではこのようにまとめている『吉田茂首相は冷戦体制に入った米国の再軍備要求に対して当時の日本の国力では耐えられないと考え、軽武装・経済成長路線を歩む決断を変えなかった。戦後の日本の繁栄と安定はこの吉田路線のたまものだと言っていい。』
そして現在の話である。菅前総理は就任時に「第3の開国」という言葉を利用した。第1の開国が明治維新、第2の開国が第二次世界大戦後であるので今は第3の開国とした発言であった。しかし現実を見ると、どうも第2次世界大戦前夜の日本のような気がする。消費税論議にしても政党間の思惑が国民生活向上の前に来ているような気がしてならない。自民党も先に発表したマニフェストで消費税10%を掲げているのに何故民主党からの提案に拒否をするのかよくわからない。
多分この夏に解散・総選挙があると予想しての戦略であろうが、このこと自体が内閣のリーダーシップの欠如と政党間の足の引っ張り合いという第二次世界大戦前夜の状況によく似ているような気がする。
『世界の中にわが身を置いて客観視することができず、どんどん内向きになっていった時代の閉塞(へいそく)感に近いものが、日本の政治にはびこっているように思える。』と論説は続き、最後のまとめ「政局より国の生存を」に続いている。
『東日本大震災で世界から寄せられた支援を知り、首都圏のある中学生がこんな質問を口にした。「あと10年たってまた日本がこんな震災にあっても、世界は日本を支援してくれるでしょうか」世界が示した復興への期待にもかかわらず、日本の政治は首相降ろしの権力抗争に終始した。この中学生でなくても、国のサバイバルより政局が優先する政治でこれから先は大丈夫なのかと心配になる。』
中学生の質問ごもっともである。こんな永田町界隈での権力闘争を繰り返していると国民不在の政治、外交後回しの政治となってしまうと国際社会から孤立してしまうことは当然のことといえる。そして論説は次のフレーズでまとめている『議論すべきこと、すぐにも始めたいことはたくさんある。たとえば、国家予算の1%を政府開発援助(ODA)に回す発想はないだろうか。1%なら9000億円余。日本が世界一の援助大国だった90年代には及ばないが、来年度予算(5612億円)よりはかなり多い。世界に重きをなすため何ができるか、そんな発想で政治が動いてほしい。内にこもらないで、目を外へと向けたい。世界とつながる中にしか日本の明日はないのだから。』
毎日新聞の社説を読んで、日本の将来に危機感を覚えたのは私だけではないかもしれない。なお『』内は社説の転載である。

毎日新聞社説 → 2012・激動の年 明治と戦後に学ぶこと
夜郎自大 → わたしが調べた四字熟語
by motokunnk | 2012-01-07 08:25 | 日記 | Trackback | Comments(0)